食としつらい、ときどき茶の湯

ふつうの暮らしをちょっとよく。背伸びしないで今日からできる、美味しくて心地よい暮らしのヒントを集めています。

家をつくろうとする方・つくられた方の傍で、 家 人 暮らしを永年見守り続けた 元・建築設計事務所 広報担当から
日々の暮らしを見つめるヒントをお届け。家の捉え方、 暮らしの向き合い方を見つけるきっかけになれば嬉しいです。

ときめき!!『ラブおばさんの子供料理教室』

今でも大事に持っている、子どもの頃に買ってもらったある本のお話。

おもちゃ屋さんには近寄らないけれど、本屋さんにはよく連れて行ってくれた母。「一冊だけね」という声を合図に好きな本が並ぶエリアに急行するのが常。ただし その『一冊』にはマンガは含まれず、母自ら「これ、いいじゃない」と漢字ドリルや計算ドリルを推してくるという…笑。子ども心に母の狙いはわかっているので、その意図をかいくぐり なおかつ 自分が欲しい絶妙な本を探しては、「これお願い」と差し出し 厳しい購入判定検閲を受けるのがお決まりだった。

大抵は伝記モノや図鑑系になるのだけれど(物語は数回読むと読まなくなってしまうから損した気分になる)、ある時、本棚の前で脳天をくらうほどトキめく本に出会った。それが、『ラブおばさんの子供料理教室』(鎌倉書房)。

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子ども向けの料理本で、中学生のお姉さんと小学生の女の子たちが”ラブおばさん”の手ほどきで色々な料理に挑戦し レシピを紹介するもの。かわいい挿絵が散りばめられ、登場する女の子たちはキュートな服を着て素敵な器やお鍋を使いながら「グラッセ」だとか「海の幸のホイル焼き」だとか、聞いたことのないお料理を作っている。田舎の小さな少女には、まるで外国に行ったような衝撃。ページをめくるたび、興奮が止まらなかった。

母の検閲をあっさり通過し 私のもとにやってきた『ラブおばさんの子供料理教室』は、以来 私のバイブルに。眺めては世界に浸り、手順をイメトレし、端から試す毎日。その後、本屋さんで買ってもらうのは決まって「お菓子百貨」や「料理の基礎」などのレシピ本に。いつの間にか、料理が趣味になっていった。

相変わらず どうにか勉強させようとする母だったが、「これを作ってみたい」といえばすぐに材料を揃えてくれ、いつも黙って協力してくれた。今考えれば、材料、道具、と相当な出費だったと思うけれど、そのおかげで「料理は楽しい」というイメージが身体中に染み込だ大人に成長した。

ある程度成長してから料理に挑戦するのもいいけれど、子どもの頃に感じた「楽しい」の感覚がベースにあるのって、やっぱりとても幸せなことだと思う。

『ラブおばさんの子供料理教室』と母に感謝。